10万キロを迎えての総括
2016年1月に購入したデミオ ディーゼルが、8年後の2024年1月に走行距離10万キロに到達しました。年間12,500km、月に1,000kmちょっと走った計算になります。
ここまでの感想をまとめると以下の様になります。
- 優秀なコンパクトGTエコカー
- ディーゼル+MTは独特
- 良くも悪くも金がかからない
優秀なコンパクトGTエコカー
GTカーという昭和な表現は今時通じるかどうか怪しいですが、要は長距離を楽に走れる車、という事です。なおGTはイタリア語で言うとグランツーリスモだそうです。プレステを思い出しますね。
先代のGTワゴン 初代アテンザ
デミオの前に乗っていた車は亡父から譲り受けた初代アテンザワゴン4WDでした。これは、父が生前に富山の自宅と東京の旧実家間を年に数回往復する用途で買っていたもので、大きな排気量による余裕のパワー、どっしりした大型の車体と4WDから来る走行安定性など、まさにGTカーと言った感があり、長距離の移動が非常に楽でした。
その一方、通勤などの日常用途においては、車体が大き過ぎて街中での取り回しが悪く、車重と4WDシステムによる燃費の悪さ(だいたいリッター8km程度)により毎月2万円超のガソリン代がかかるなど、年に数度の遠乗り以外では中々に持て余す車でもありました。
デミオ ディーゼルのGTカーとしての資質
この大きなアテンザから小さなデミオ ディーゼルに乗り換えて驚いたのが、GTカーとしての資質がアテンザと同じかそれ以上にあった事です。
ディーゼルエンジンは非常に強力で、体感のパワーは初代アテンザと同等かそれ以上。またエンジンの重さや足回りのセッティングが良い感じに功を奏しているのか、小型のFFなのに妙にどっしりとしていて、大型で4WDだったアテンザに引けを取らない走行安定性があります。
何度か富山から東京までの往復や、その他長距離旅行に行ったりもしましたが、高速道路で長距離を走っても疲労感が少なく、この車であれば「どこにでも行ける」「どこまで行っても苦にならない」といった安心感があります。
なお、ガソリン版のデミオにも試乗していますが、そちらは長距離を楽々こなしてくれるようなGTカー的要素は無く、普通のコンパクトカーといった感じでした。
財布にもドライバーにも優しい
更にアテンザには無かった特徴として、やたら良い燃費があります。何も考えずに乗っていても普通にリッター23kmくらい余裕で出る上に、燃料もガソリンより安い軽油なので、長距離を走っても全然お金がかかりません。4,000円かそこらで700km以上走ってくれます。この下手な軽自動車以上の燃費と大排気量車並みのパワーを両立しているのだから凄いものです。
そして基本がコンパクトカーなので、小型で取り回しが良く、毎日の通勤も楽々です。本州縦断旅行から近所のコンビニへのちょい乗りまで、どこにでも気楽に乗っていける稀有な車だと思います。
ディーゼル+MTは独特
アテンザの更に前は初代ロードスターに乗っており、MTを堪能していました。その後、走行距離25万kmでロードスターがお亡くなりになってしまい、ATのアテンザでしばらく我慢した後、ようやくデミオ ディーゼルで待望のMTに戻ってきたわけですが、乗ってみるとガソリン車(試乗した同型デミオのガソリン版含む)のMTとちょっと感覚が違う所があり、当初は戸惑いました。
ガソリン車の場合
個人的に、所有していたロードスターや試乗したガソリン版のデミオ、その他教習所時代の大昔のクレスタの全てでだいたい共通の感覚なのですが、ガソリン車のMTでは、「速度の変化」「パワー不足」によってシフトチェンジの必要性が生じていた様に思います。
速度の変化
発進は1速で行い、速度が上がってきたら2速、3速…といった具合に、速度に合ったギア比に変えていく通常の操作です。大人しく乗る場合と引っ張って振り回す場合でタイミングは変わりますが、だいたいは速度に合ったギアが決まっているので、どちらかと言うとあまり考える余地のない機械的な操作になります。
パワー不足
こちらは同じ速度域であっても、よりキビキビとアグレッシブに走る為にあえてシフトダウンしてエンジンをぶん回し、パワーを絞り出して加速する、といった感じで、人の意思が大きく介在する、必要はないが楽しいから、といった理由で行われる操作です。
エンジンはある程度回っていないとパワーが出ないので、一旦減速が必要なコーナーや、負荷のかかる登りなど、エンジン回転数が下がりがちの状況では、そのままアクセルを踏み込んでも中々加速してくれません。しかし、そこでシフトダウンしてエンジン回転を上げれば勢いよく加速して走り抜けられます。
この辺りの操作により、MTの「意のままに車を操れる」楽しさが出ている面もあると思います。
デミオ ディーゼルの場合
ガソリン車と比較すると、ディーゼルエンジンでトルクがあるせいか、上記で言う所の「パワー不足」によるシフトチェンジの必要が非常に薄く、「とりあえずアクセル踏めば加速する」みたいな面があって、運転中に「ここはギアを落とさないと加速が!」みたいなシチュエーションが少ない気がします。
また、そういうエンジン特性に合わせたのか、各ギアの守備範囲があまりクロスしていないようで、例えば「50km/hなら状況に応じて3速か4速」ではなく「50km/hなら3速」みたいな感じであんまり選択の余地がありません。(数字は適当ですが、感覚的にそんな印象、と言う事で)
ついでに言うと、なんか3速の守備範囲がやたら広く?町中はほとんど3速入れっぱなしでOK!みたいな感じがあります。
この辺の特性から、なんか前述の「パワー不足」による人の意思が働いた楽しいシフトチェンジが(ほとんど)なく、「速度の変化」による機械的なシフトチェンジのみを淡々と行っているような感覚になり、初めの頃は「これ別にATで良かったんじゃない?」とまで思っていました。
ただ、慣れてくるとある程度振り回してシフトチェンジを楽しむ事も出来る様になってきました。が、それでも自然にその辺が楽しめてしまうガソリン車の感覚とはやはり違う気がしています。
とは言え、その辺のATよりは全然楽しいので、MTのエコカーとしては貴重な存在です。他には初代インサイトやCR-Zくらいで、どちらも今は絶版ですからね。
良くも悪くも金がかからない
良い
パワーがあるのに、とにかく燃費が良く、かつ燃料が安価な軽油なので、ランニングコストが非常に安いです。
ガソリンスタンドには月に1回行くか行かないか程度で、買った当初は乗り換え前のアテンザ(2週間にいっぺん必ずガソリンスタンド通い必須)と比べてあまりに燃料が減らないので、給油が必要である事そのものをすっかり忘れていて、あやうくガス欠になりかけた事もありました。
また、エコカー減税の対象でもあるので、税金も多少安くなります。
悪い(※個人的感想)
悪いというのもアレなんですが、個人的に内装も外装も完成されている上に手を入れにくいデザインなんで、いじる余地がなく、カスタマイズの楽しみがありません=金がかかりません。
オーディオはマツコネで変更不可、内装も曲面を活かした形で各要素が無駄なく配置されており、社外品のパーツがしっくり収まるスペースが無く、どうやっても「取ってつけた感」が出てしまって何も付けられません。
外装も、せめてグリルでも変えようかと思ったのですが、単にありがちで平凡なデザインになるだけの様な気がして結局なにもいじっていません。
自分でいじる事で大きく車に愛着が湧くタイプなので、何かしたいのですが、結局何も出来ないまま今に至ります。そのため、見た目と機能的には非常に素晴らしい車なのですが、いまいち愛着が持ちきれていません。
ハンサムで仕事ができて非常に優秀で手放せないけど、面白みが無くてイマイチ打ち解けきれていない部下、みたいになっちゃってる面があります。初のマイカーで手を入れまくった15万円のオンボロスターレットや、それこそカスタマイズしまくり、修理代でも滅茶苦茶に金を持っていかれたけど、結局自走不能になるまで添い遂げた初期型NAロードスターの様な理屈抜きの愛着は持てていないのが現状です。
年齢からして、金をかけずに優秀な車を維持できる、というのは望ましい姿だと理屈では分かっているのですが、何かこのモヤモヤを解消するブレイクスルーがほしい所です。
終わりに
個人的な思いだけをつらつら書いてきましたが、とにかくこのデミオこと、現マツダ2のディーゼルは非常に優秀でお勧めです。
マツダ2であれば、デミオのデザインを活かしつつ、内外装ともかなりカスタマイズしやすい感じになったので、いじる楽しみも大いにありそうで羨ましいです。(さすがにデミオからほぼ変わらないマツダ2への買い替えはしませんが…)
多分年齢的に次が最後の新車になるので、デミオからの乗り換えは趣味性満載のジムニーMTと決めていますが、デミオがあまりにも優秀なので、走行距離10万kmを超えた今でも中々手放す踏ん切りが付きませんね。
なんのせ、デミオこと、現マツダ2 ディーゼル MTを検討している方がおりましたら、是非試乗などしてみてください。ハイブリッドカーなど他のエコカーとは一味違った、面白い存在感のある車です。
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